作品を通じて生まれる、子どもたちと審査員の交流〜第12回世田谷児童絵画コンクール表彰式

2025年10月19日(日)、伊佐ホームズ駒沢住宅・ギャラリー櫟にて、第12回世田谷児童絵画コンクール表彰式が開催されました。
応募総数314点から選ばれた、最優秀賞をはじめとする受賞者のみなさんに賞状と賞品が授与されました。
表彰式は単なる授賞の場ではありません。審査員の先生方が作品を描いたお子さんと実際に会い、絵について語り合う貴重な機会として、毎年楽しみにしている特別な時間なのです。




温かな交流に包まれた表彰式
表彰状の授与に続き、審査員の先生が受賞したお子さんに語りかけます。子どもたちも最初こそ緊張していましたが、先生方の温かい言葉に次第に笑顔がこぼれ、自分の作品について生き生きと語る姿が印象的でした。


会場には、絵画コンクールを卒業していった子どもたちもお祝いに駆けつけてくれました。成長した姿で後輩たちの受賞を祝福する光景は、このコンクールが築いてきた12年間の歴史と絆の深さを感じさせます。

又川茜さん。小3の時に『こまざわ公園のきょうぎ場と自由広場の間の場しょ』で第2回優秀賞を受賞。その後も小6まで、毎年入賞を重ねました。

葛有世さん。小5の時に『あまみの生活』で入選。小6では『ニワトリ』で、見事、第10回最優秀賞に輝きました。

太田堅心さん。小5の時に『自然とみんなが集まる場所』で第6回伊佐ホームズ賞に選ばれました

学校・地域からも温かい祝福が
受賞者のもとには、学校の先生方だけでなく、子どもたちが描いた場所のお店や施設の方々からも、お祝いの言葉やお手紙が寄せられました。地域全体で子どもたちの表現活動を応援する温かい輪が広がっています。
その中でも最優秀賞を受賞した柏原有佐さんには、通っている小学校の校長先生、担任の先生、図工の先生がお祝いにかけつけてくださいました。
担任の先生は柏原さんについて、「教室には柏原さんのイラストがあふれていて、イラスト係として描いた絵が黒板にも飾られています。夏の林間学校のしおりの表紙も描いてくれました」と日頃の活躍ぶりを紹介。「絵が上手いだけでなく、いつもきちんと挨拶をする生徒で、苦手なことにも真っ直ぐに取り組む姿勢があります。受賞した作品を見て、柏原さんらしいなと思いました」と、柏原さんの人柄と作品への深い理解を語ってくださいました。

吉田健二校長先生

担任の増井瑞季先生
子どもたちへの温かなエール
「今年の作品がまた格別」とレベルの高さに驚き、「自分のことをわかってもらうことがたいせつ」「いいものを創ろうと思って考えることが大事」と、表現することの意義について語りかけました。

博多ラーメン一風堂の創業者・河原成美氏との60年来の友情エピソードも披露しました。ともに絵を目指していた二人が、それぞれ異なる道を歩みながらも「アートをやっていたから今がある」と語り合う姿に、創作活動が人生にもたらす豊かな可能性が表れていました。
「みんなの成長が楽しみでしょうがない」という温かい言葉で締めくくられたメッセージは、子どもたちの心にきっと深く響いたことでしょう。
最優秀賞 柏原有佐さんと審査員による特別座談会
はじめてのコンクール挑戦で最優秀賞を受賞した柏原さんの作品『夜の陸橋』について、審査員の先生方は「これまでに見たことのない世界」と絶賛。色鉛筆を何度も塗り重ねた粘り強さを感じる作品は、紙がピカピカになるほどの熱量で描かれていました。




グラフィックデザイナーの父の背中を見て育った柏原さんは、「絵を上手くなりたいという気持ちは強かった」と創作への想いを語りました。特別な指導は受けなかったものの、父親からの小さなアドバイスを自分なりに発展させていく姿勢に、審査員の先生方も深く感銘を受けていました。

新たなフェーズを迎えた絵画コンクール
座談会の中でも語られていますが「絵画展が新たなフェーズに入ったような気がする12回目でした」とあるように、今年の表彰式は特別な意味を持つものとなりました。
子どもたちの豊かな表現力、審査員の先生方の深い愛情、そして関係者すべての温かい支援に支えられた世田谷児童絵画コンクール。来年はどんな素晴らしい作品と出会えるのか、今から楽しみでなりません。


最優秀賞をはじめとする各賞の受賞作品と櫟賞などを展示いたします。
子どもたちが何をみつめ、感じ、その感動がどのように絵に現れているのか、ぜひ実際の作品を見にいらしてください。
受賞作品に加え、絵画展〔第1期〕ご来場のみなさんの投票で選ばれた[櫟賞]と上位作品を展示します
絵画展〔第2期〕2025年12月2日(火)〜7日(日)
世田谷美術館 区民ギャラリー(東京都世田谷区砧公園1-2)
10時〜18時(入館は17時30分まで)
※初日2日(火)は13時から/最終日7日(日)は17時まで

