審査会

第10回(2023年)総評
「みんなで見よう、ほくが、私が感じた素敵な場所の絵」

今年で10回目になった世田谷児童絵画コンクール絵画展。その時間の長さは、一年生だった私が小学校、中学校も卒業し高校一年生になったほどだ。

ぼくも私も樹木も育ったことで、景色の感じ方も変化して行く。この絵画展の作品にも感じ方、描き方の変化があり、審査にかかわった先生たちは、今回も新しいおどろきをもって作品と向かいあったよ。

コロナのえいきょうが少なくなったことで、一人ひとりが絵と自分とにじっくり向かい合って描いた力作が並んだ。
でも絵はね、速さや点数を競うことはできないんだ。絵を見て深く感じたり、今まで気づかなかったことが見えるようになったりする。
このことは素晴らしいことで、みなさんの絵を見に来たお友達とおとなも一緒になって、ここで新しい場所を見つけられると思うよ。

東京藝術大学美術学部油画科 名誉教授 坂口寛敏

審査会では、応募者の名前を伏せた上で床に絵画を並べ、すべての作品を審査。審査員がひとりでも推薦すれば残すという方法を繰り返して、受賞作を決めていきました。

はじめのうちはなごやかにすすんでいた審査会ですが、数が絞られていくにしたがって、審査員の表情も真剣に。子どもたちが絵に込めたすべてを受け止める、という目で1点1点に向き合い、議論を重ねました。

すべての審査が終わって、応募者の名前を見てみたところ、続けて応募してくれた子どもたちがいたこともわかりました。その成長の様子もまた、審査員やスタッフたちの喜びとなりました。