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心をこめた2日間—「第8回 初夏の感謝祭」

2026年6月27日・28日の2日間にわたって開催された「初夏の感謝祭」。
あいにくの空模様となりましたが、伊佐ホームズで家づくりをされた方をはじめ、世田谷児童絵画コンクールにご参加いただいたご家族、併設のギャラリー櫟をご利用いただいた方々など、私たちとご縁のある330名のお客様にお集まりいただきました。

特別トークイベント

今年は、おふたりのゲストをお迎えしました。どちらの回も満員御礼。1時間を超える、とても熱い会となりました。

味の素株式会社 会長・藤江太郎さん
「味の素の今を語る!」

藤江さんとは、20年ほど前の家づくりからご縁が続いています。以来これまでに2軒の家を手がけ、2軒目にあたるのが今年竣工した「新たな始まりの家」です。

お話は、ご自身が突然の病に倒れられたときのことからはじまりました。そこから決断された、次の社長への交代。平常時と非常時の両方に備えて継承プランを持っておくこと、そして箱根駅伝のたすきのように、次の走者へ渡していくこと。ご自身の身体を通して語られる言葉には、静かな重みがありました。

味の素グループが業績の低迷から立ち直っていく過程もお話しいただきました。社員の目が社内にばかり向き(内向き)、上司の顔色をうかがい(上向き)、前例を探す(後ろ向き)——当時の本質的な課題を、藤江さんはそう表現されました。

その課題を解決するべく変革の出発点に置いたのは、数字ではなく「志」でした。会社の志と一人ひとりの志が重なるところを探していく。三カ年の中期経営計画をやめたというご判断も、その延長線上にありました。
3年先がどうなるかは誰にも分からないのに、緻密な計画づくりに力を注ぎ、できあがった頃には実行する気力が残っていない。「計画を作る」こと自体が目的になっていたといいます。

さらに印象的だったのが「セカンドペンギンに光を当てる」という言葉です。最初に海へ飛び込む勇敢な一羽は「ファーストペンギン」と呼ばれ、称えられます。けれど藤江さんが光を当てるのは、それに続く二羽目でした。挑戦が個人の勇気ではなく組織の文化になっていくために必要なことを、藤江さんはそう言い表されました。

企業を動かす原動力は、人である——。そんな言葉で締めくくられたお話でした。

世田谷美術館 館長・橋本善八さん
「世田美のあしあと と 世田谷児童絵画コンクール」

世田谷美術館 館長の橋本善八(よしや)さんは、伊佐ホームズが共催する世田谷児童絵画コンクールで、第2回から審査員を務めてくださっています。
「館長だと堅苦しいので、『ぜんぱちさん』でお願いします」
そのひと言で、会場がふっとなごみました。伊佐も普段から「ぜんぱちさん」と親しみをこめてお呼びしている間柄です。

美術系の大学を出て出版社に勤めていた橋本さんに、知人が「世田谷美術館という美術館ができるらしい」と教えてくれたことが転機になりました。学芸員のアルバイトに応募し、開館前の美術館へ。以来40年、世田谷美術館とともに歩んでこられました。

開館記念展である「芸術と素朴」は、正規の美術教育の枠の外にある表現に目を向け、人間が本来持っている創造の力を問い直す展覧会でした。資生堂、高島屋、東宝、東急——企業と美術の関わりを掘り下げるシリーズも、世田谷美術館ならではの試みです。

学芸員の仕事は料理に似ている、という例えも心に残ります。同じ素材でも、レシピと盛り付け次第でまったく違うものになります。巡回展を招くのではなく、企画から自分たちの手で立ち上げる展覧会。その姿勢を支えているのが学芸員の力なのだと、橋本さんはおっしゃいます。

今年13回目を迎える世田谷児童絵画コンクールについて、橋本さんは「このコンクールが一番エキサイティング」と語ります。毎年、子どもたちの自由な表現に向き合うなかで、これからの学校教育では、鑑賞する力、感性を育むことが必要だと力強くおっしゃっていたのが印象的でした。

伊佐ホームズの「今」を伝える

ギャラリー櫟では、「伊佐ホームズの今」をご覧いただく展示をご用意しました。

現在進行中のプロジェクト事例や、秩父の森を守り、活かしていくための森林再生プラットフォームの取り組みを、映像とパネルでご紹介しました。また、私たちが積極的に取り入れている日本の伝統素材を、実際に手に取っていただきました。桜新町で手がけるコミュニティ書店「わたしの本棚」で開催しているイベントについてもご紹介しました。

いずれも、社員がお客様に直接ご説明する機会となりました。パネルの前で立ち話が始まり、そのまま家づくりの思い出話へ——そんな光景があちらこちらで見られました。

駒沢住宅の打合せスペースには、伊佐裕の風景画を展示しました。山や里の地形を感じるままに大胆に描いた作品は、伊佐ホームズの家づくりの思想の土台でもあります。

駒沢住宅の1階では、昨年の受賞作品をはじめ、世田谷児童絵画コンクールに応募してくれた子どもたちの作品を展示しました。色鮮やかで生き生きとした絵に、多くの方が足を止めて見入っていました。

食でも「おもてなし」を

料理家の田上委久子さんには、両日ともお料理をお願いしました。ギャラリー櫟に長く関わってくださっているお客様でもあり、伊佐ホームズのイベントには欠かせない存在です。野菜をたっぷり使った、身体にやさしい味わい。旬の食材を活かした大皿が並ぶと、次から次へと手が伸びていきます。「毎年これを楽しみにしているんです」という、うれしいお声もいただきました。

お酒をご用意くださったのは、西小山の「かがた屋酒店」さん。伊佐ホームズで家づくりを手がけたご縁から、毎回お力を貸していただいています。今回並んだのは、なかなかお目にかかれない銘柄の日本酒と、国産にこだわったワイン。それぞれの特徴を社員がご紹介しながらお注ぎするうちに、お酒を入り口にした会話が方々で生まれていました。

二子玉川生まれのクラフトビール「ふたこビール」からは、今年は3種類が登場しました。クリアできりっとした「フタコラガー」、ほろ苦さと香りを楽しむ「フタコアイピーエー」、そして二子玉川に応援のエールを送るという名前の由来を持つ「フタコエール」。3つを飲み比べて、お好みの一杯を探す方も少なくありませんでした。

2日目には、博多ラーメン「一風堂」のキッチンカーが登場しました。一風堂の河原会長と伊佐裕は長年の友人。そのご縁から実現したこのコラボレーションは今年も大人気で、その場で麺を茹でる熱々出来たての一杯を、大人からお子さんまで夢中でほおばっていました。

近づいた距離

会場のあちこちで、話し込む声が聞こえていました。家づくりを担当した設計者や営業担当者と、お施主様。トークを聞き終えたばかりのお客様同士。
雨で屋内に人が集まったぶん、いつもより距離が近く、腰を据えてお話しできた2日間だったように思います。
家づくりのご縁からはじまった関係が、いつのまにか家族や友人のような間柄になっている。あらためて、そのありがたさを感じました。

今回の感謝祭を支えてくださったのは、お施主様をはじめとする皆さまです。登壇いただいたおふたり、お料理、お酒——多くの方のお力添えで、この2日間ができあがりました。家づくりだけでなく、文化活動や社会貢献活動を通じてつながってきた方々との「価値共感共創ネットワーク」。このつながりこそが、伊佐ホームズの力の源だと感じています。

特別な2日間が教えてくれたこと

当日を迎えるまで、社員が総出で会場の設営と展示の準備にあたりました。
天気予報は雨。いつもどおりのおもてなしができないかもしれない——そんな思いを抱えながらも、この空模様のなかで最高の時間をお届けするにはどうすればいいかを考え、手を動かしました。雨をよけるテントの設営は、家づくりを生業とする私たちにとってはお手の物です。

ふたを開けてみれば、心配していたのは私たちのほうだけだったのかもしれません。足元の悪いなか、大勢の方が足を運んでくださいました。
久しぶりの再会、はじめましてのご挨拶、そして目の前で見る皆さまの笑顔。この仕事をしていてよかったと、素直に思える2日間でした。

家をお引き渡しした日が、お付き合いの終わりではありません。むしろ、そこからの長い時間こそが、私たちにとって大切なものです。
天気は選べませんが、それでも毎年こうして集まってくださる方がいる。伊佐ホームズにとって何よりの財産は人なのだと、雨の2日間があらためて教えてくれました。

これからも皆さまとのご縁を大切に育んでいきたいと思います。足元の悪いなかお越しくださった皆さま、本当にありがとうございました。次回もまた、お会いできることを楽しみにしております。