トップページ > 伊佐ホームズの家づくり > 家づくり物語

家づくり物語

第2回 木の温もりと暮らす家 後編

■能登ヒバに囲まれた浴室と床下収納庫の秘密

洗面所の写真
洗面所。鏡の裏はスライド式の棚になっている。使い勝手のよさもM邸の特長のひとつ
  バスルームの写真
バスルーム。入居後一年が経過しているが、能登ヒバの壁板は元の美しさを保つ

次に隣接する洗面所、浴室に目を転じてみましょう。
驚いたことに、トイレも含めたこの空間の壁はすべて板張りです。湿気に強く、抗菌作用があるとされている能登ヒバを使用しているとはいえ、手入れがたいへんなのではないでしょうか。
「ところがそうでもないんです。シャンプーや石鹸の泡を残さないようにすれば、あとは換気に気をつけるだけで、変色もしなければカビに悩まされることもありません」
入居後、すでに一年が経過していますが、洗面所、浴室ともに当初の美しい姿を保っています。特に浴室は未だに木の香りがしており、ご家族はもちろん、ゲストのみなさんもつい長風呂になってしまうのだとか。

 
和室の写真
1階ご夫婦の部屋。落ち着いた和の空間。左手に2間の押入れがある

ここで一階に目を転じましょう。 一階はご夫婦の寝室と子ども部屋、それにエキストラルームがあります。子ども部屋は一番日当たりのよい場所、つまり中編で紹介した日の当たるリビングの真下にあります。ご夫婦の部屋は、M邸で唯一の畳敷きの部屋。10畳の広さがありますが、2.5畳分を板敷きにし、そこに奥様お気に入りの箪笥を置いています。押入れは、2間幅で収納量も充分。

「建て替え前の家は古い造りでしたが、その分、押入れもたくさんあり、とても便利に使っていたんです。そうしたよい部分は、新しい家でも残したかった」と奥様は言います。

 
玄関の写真
玄関は両脇をガラス張りにして、光を取り込んでいる。左の扉はシューズクロークと床下収納庫の入り口
  基礎工事の写真
基礎コンクリートの高さは80センチ、中央が大黒柱の基礎部分

収納といえば、M邸には玄関の脇の階段下と玄関ホールの床下を利用した収納庫があります。高さは90センチ程度ですが、とても広く、奥行きがあります。不要不急の大きな荷物はすべてここに収納されています。
設計を始める時、長年、この家に住んでいた母のアドバイスから、川の氾濫に備え、床高を上げるための基礎の高さを80センチ取ったことで、日当たりも良くなり、この床下の収納も可能になったのです。つまり一挙三得というわけです。

■家と家族を支える中心を作る

「美神は細部に宿る」と言います。しかし細部が活きるには、あくまで全体がしっかりとしていなければなりません。M邸の場合、その中心となったのは大黒柱です。
大黒柱の存在を強く求めたのは、ご主人でした。実は伊佐ホームズを選んだ理由のひとつもここにあります。ご夫婦が足を運んだ瀬田のモデルハウスは、まさに大黒柱が家の中心として抜群の存在感を見せていました。設計担当者は、こう振り返ります。
「M邸の設計・施工は前例がないくらい順調に進みました。というのは私たちとMさんご一家で、新しい家に対する明確なイメージを共有していたからなんです」
M邸の敷地は、延長部分を除くと正方形に近い形をしています。そこにどのような意匠の家を建てるか。設計担当者が最初にイメージしたのも、瀬田のモデルハウスだったのです。
「ですから、家の形も自然と正方形に近くなり、方形(ほうぎょう)の屋根と、中心の柱で構成しました」

建築当時の大黒柱の写真
大黒柱は1階と2階の間で木組みによってつなげている
リビングの写真
家族に安心感をもたらす大黒柱と化粧梁

大黒柱は、建物の中心に立ち、床下から二階天井までを貫いています。柱の径は六寸角(18センチ×18センチ)で、基礎もそこだけ広くなっています。ただし一本の木を使うとなると、10メートルの長さになり、運ぶのも困難になるため、一階と二階の間で木組みによってつないでいます。
そして二階天井部分。一般的には梁と天井の間に束と呼ばれる小さな柱を立てて屋根を受けるのですが、M邸では特殊な小屋組みを用いて、束を立てていません。柱と梁の作り出す直線は、広いリビングダイニングをさらに広く、高く見えるように演出しています。
ただ大黒柱が重要なのは、そうした演出でなく、これが実際に家を支えているのだという安心感なのです。M邸ではその安心感、つまりご一家の心の拠り所が、リビングダイニングの中心にあります。そしてそのことが、細部の工夫だけでない、より一層の温もりを、M邸全体に与えているようです。(了)