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家づくり瓦版

【玄昌石(げんしょうせき)】

玄昌石(硬質黒色粘板岩)は、通称スレートとも呼ばれ、耐水性や耐火性にすぐれているため、古くから床や壁、屋根葺材として使用されてきました。
日本では宮城県、岩手県などで産出し、特に「とよま玄昌石」と呼ばれているものは、フランスで採れる「アンジュスレート」と並んで世界最高の品質を誇ると言われています。
東京駅や横浜開港記念館、故石原裕次郎邸の屋根材、東宮御所では床材として利用されています。
また宮城県石巻市雄勝(おがつ)町で採掘される硬質黒色粘板岩は、雄勝石と呼ばれ、全国で生産される硯の9割を占めています。
だから玄昌石で作られた屋根や床が雨に濡れると、硯のように深い、落ち着いた黒色になるのですね。

玄昌石の用途例の写真

【スギ】

スギは、マツ網マツ目ヒノキ科スギ属に分類される日本の固有種です。
名前は「直木」から来ていると言われ、その名の通り、天に向かって真っ直ぐ伸びる姿は日本の代表的な風景のひとつとして、多くの絵画や文学作品に取り上げられています。たとえば川端康成の代表作『伊豆の踊り子』の書き出し――天城の杉林を雨が白く染めてゆくシーン――などは、川端の日本的な審美観がもっとも発揮された文章のひとつとして、『雪国』とともに永遠に残るものでしょう。
そうした美しさだけでなく、杉は、材質が柔らかく加工が容易なことから、古くから木材として使用されてきました。
ただし、ヒノキなどと比較すると水分を多く含むことから、製材や乾燥工程によっては、そりや変形などといったいわゆる「暴れ」が出てしまいます。
M邸では、独自の哲学で国産材を販売する「木童(こどう)」から仕入れた材木を使用しています。


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相生杉の写真
相生杉
  杉の床板の写真
杉の床板

【大黒柱】

大黒柱は日本家屋の中心にある太い柱のことで、「大極柱」とも書き表されます。
語源には諸説あり、平安京の中心、朝堂殿の正殿である「大極殿」の柱から派生したという説、室町時代にえびす大黒様を「富を司る神」として祭ったことから呼ばれ始めたという説などがあります。
日本では古来より神と家が強く結びついていると考えられています。たとえば地鎮祭、地祭りなどの建築儀礼は、荒神、金神といった地の神に許認を求める意味があります。この儀礼で強く意識されるのが、家の四隅、そして中心である大黒柱でした。
大黒柱は、土地を囲い込み、占有するのでなく、神、つまり自然に許しを得て、ともに生きることだと考える日本人の感性の現れであると言えるかもしれません。

大黒柱の写真
大黒柱
  大黒柱の写真

【萩の天井】

純白、紅紫、濃紫色の花で秋を彩るは、古代日本人に最も愛された植物のひとつ。
万葉集』には実に141首もの萩の歌が詠まれており、2位の梅(119首)、3位の松(80首)を遥かに越えてダントツの1位です。
萩花を観賞する風習は欧米にも中国にもありません。実に、日本人独特の審美観を映した存在なのです。
萩はマメ科の植物であるため、痩せた土地でもよく育ち、観賞用以外にも多岐に利用されてきました。砂防用の堤防や斜面の保護・緑化、牛馬の飼料、そして晩秋に刈り集めた条枝は垣根や屋根を葺く材料となりました。また良質の枝は、筆の軸にも利用されています。
萩の枝を敷き詰めた天井は茶室によく使用され、ダークブラウンの色が、空間に落ち着きをもたらします。

藪の天井の写真写真

【方形屋根】

屋根にはさまざまな種類があります。一般の和風建築では「切妻」、「寄棟」、「入母屋」などの形式がよく見られますが、「方形」(ほうぎょう)もその一つです。その名前からもわかるように、方形屋根は、真上から見ると正方形をしており、その中心点から四方に傾斜する四つの面によって構成されています。屋根だけを切り取ると、四角錘になっているといえば想像しやすいかもしれません。
方形屋根は寺社建築によく見られますが、代表的なのは、平安時代末期から鎌倉時代に活躍し、東大寺伽藍の再興に尽力した俊乗坊重源によって建てられた国宝浄土寺浄土堂(兵庫県小野市)です。方形屋根が作り出す外部の流麗なフォルムと内部空間の圧倒的な広がりは、当時の最先端の技術が結集していると言われ、現代の目で見ても古さを微塵も感じさせません。

例:方形屋根の写真例:方形屋根の写真