
樋口氏の仕事に、古代のなつかしいカタチを連想する現代の人間が、本来の生命力を喪失しつつある今、古代人の魂の塊とおぼしきものに触れる思いがしました。
(弊社代表取締役社長 伊佐 裕)
10時30分〜17時30分 最終日は16時まで
水曜休廊
会 場 :ギャラリー櫟(くぬぎ)
〒152-0021 東京都目黒区東が丘2-13-25
TEL.03-5712-5515 / FAX.03−5712−5613
![]()

- [ひぐち・きょういち]
- 1987年東京造形大学彫刻科卒業。
現在、現代日本彫刻作家連盟同人。
樋口恭一制作コンセプト
「物事の始まり」に出会った時、私たちは感動している。そして、えもいえぬ“懐かしさ”の様な感情が沸き起こってくる。多分「始まり」に出会うことは「根拠」に出会うことを意味していて、この「根拠」が私たちの心の奥に秘められた琴の糸を震わせているのだろう。それは、まるで私たちの心の中にある、太古より受け継がれてきた、遠い物語を封じ込めた、いわゆる記憶の遺伝子が騒ぎ出しているかのようである。
感動し共鳴する微妙な心情を沸き立たせることは、人の心を豊に育むために、なくてはならない重要な経験である。
かつて人は「物事の根拠」と共に暮らしていた。儀式も祭りも生括の営みさえも皆「根拠」と共にあったように思える。しかし今は、そう簡単に出会えるとは思えない。自分の方から探しに行くしかないのである。
私は、「物事の始まり」に出会った時の様な感情を沸き立たせることができる形を作りたいと思いながら制作を続けている。あの“懐かしさ”を感じさせる生命の探層にある“遠い物語”のプロローグになることを願いながら。
<作者の言葉>
そもそも石という素材自体は、山などの大地から掘り出され一定の素材単位に切り出された物であり、地球という大地の時間の延長上にあるものです。建築素材に切り出された石の固まりは、それ自体が無名の石工が切り出した自然からの制作物です。
あらゆる生産物が商品に価値化された現代社会において、彫刻を作るということは如何なることなのか?ということを問い続けていた私は、ある時以来、石という自然の時間をモチーフにすることが出来ないかと思う様になりました。
作品である限り、構想し、制作し、出来上がる、という「出来上がる迄の時間」があるのですが、「出来上がる迄の時間」を、「作り出す以前の時間」の中に埋め込むように、作品が出来た後の「永い時間」を強く感じさせることができれば、「つくる」という行為を「出来ていく」という自然生成の時間に置き換えて見せることができるのではないかと考えています。
<鉄粉の腐食による彩色について>
泥、石膏、漆喰などを水を加えながら混合し、その中に鉄粉および塩分を加えたものを、作品の表面に塗り付け、放匿し、天日によって乾燥させることで、石の表面に借がくいこみ定着します。仕上げのこの行為によって制作の痕跡を消し存在性を強く表現することが出来ると考えています。

