ISA HOMES

伊佐ホームズ家づくり30年記念特別企画

森を
育てる
家づくり

日本は国土の7割を森林が占める国です。
豊かな恵みをもたらすこの森と共生する思想を底流として、
日本では独自の優れた住文化が育まれ、継承されてきました。
しかし現在、林業はさまざまな課題を抱え、その解決が求められています。

私たちは、美しく強い住宅をつくることが、林業を活性化させ、持続可能な循環型社会の実現につながっていくと考えました。
そこで、埼玉県秩父の林業家、製材所、プレカット工場と協力して、3年ほど前から、新しい流通システムをつくりあげてきました。それがいよいよ、本格的に稼働し始めています。
これはお客様に高品質な木材を適正な価格で提供し、かつ日本の林業を活性化する仕組みです。

ふたたび、森と町をつなげていく。
そんな未来を一緒に担っていきませんか。

1本1本の木材の履歴を明らかに

埼玉県西部の秩父地方は、都心から約100kmの林産地です。近世から、大消費地である江戸・東京に向けて木材を出荷してきました。しかし一時は輸入材に圧され、この地でも林業は衰退しつつありました。

そのなかにあっても木々は育ち続け、森林の再生に情熱を持ち続けている人々がいます。私たちは、そんな林業家・製材所・プレカット工場とともに、木材トレーサビリティのシステムを構築しました。

「トレーサビリティ」とは、製品の生産・流通の過程を追跡する仕組みのこと。住宅を構成する柱材や梁材の1本1本が、どんな森で誰が育てた木材か、誰が加工したのか、すべての履歴がわかるようにするものです。

情報をクラウドサーバーで共有

具体的には、森林パートナーズ株式会社が持つ情報システムを活用し、伐採から加工、流通の各段階の情報をQRコードで管理し、クラウドサーバーで共有します(図1)

まず、林業家の組合である「秩父樹液生産協同組合(以下組合)」が、立ち木を伐採。木の曲りや芯ずれなどの状態をチェックし、性質の良い丸太を選んで出荷します。伊佐ホームズで構造材として使うのは、独自の選木基準を満たした材のみです(表1)。組合では、これらの原木情報をQRコードに入力。それを記したシールを丸太の小口に貼って、製材所「金子製材」に届けます。

金子製材では丸太を製材して乾燥。その後、構造強度(ヤング係数)や材寸を計測します。これらの情報もQRコードに付加します。

プレカット工場「島崎木材」では、伊佐ホームズが作製した図面に沿って木材に継手仕口などの加工を施し、図面とQRコードをリンクさせます。そして仕上がった構造材を上棟現場に納品するのです。

表1 : SPウッドの10の選木基準

建築用材のA材の中でも、10の基準を満たした良材を「SPウッド」と名付けて確保。それを適正な価格で取引することで、山側にもこれまでより多い材価を支払うことが可能になった。

1 曲がり 矢高1%以上のものは不可
2 40mm以上の節は不可
3 シミ 断面の周長の1/3以上にわたってシミがあるものは不可
4 腐れ 腐れがある材は不可
5 割れ 割れがある材は不可
6 アテ 太さ3mm以上、かつアテの箇所が3カ所以上の材は不可
7 黒芯 年輪が見えない程度に変色しているものは不可
8 芯ズレ 断面を3分割して中心の断面に芯が入っていないものは不可
9 年輪 年輪幅が8mm以上の材は不可
10 極端に変形している材、かつ断面外周部の白太部分の厚みが20mm以下の材は不可
図1【伊佐ホームズの木材流通】
図2【一般的な木材流通】

家を建てることが森林再生につながる

このシステムは4者それぞれにメリットがあります。

一般に、国産材の流通は複雑です(図2)。このため、山側は需要の予測がつかず、在庫を抱えるリスクがあるため、時間がかかる木材乾燥を適切に行うのが難しくなっています。さらにハウスメーカーや工務店側にとっては、ほしいときにほしい品質の木材を必要量手に入れづらい。そこで品質が安定し、大量に揃えやすい輸入材や集成材が重宝されます。

今回、新たにつくった仕組みでは、流通の中間を大幅に省略。経費を削減すると共に、それぞれが合理的に長期的な計画が立てられるようになりました。

伊佐ホームズは1年前に必要な木材量を山側に伝え、通常の2倍相当の材価を支払います。これにより、林業家は計画的に立木の伐採ができます。さらに利益を得ることによって健全な森を維持することができます。製材所は時間的なゆとりを持って、効率的に丸太の製材・乾燥ができます。プレカット工場は特命で受注ができ、継続的に仕事が確保できます。一方、伊佐ホームズは高品質で履歴やグレードが明確な構造材をお客様に提供できます。もちろん、お客様に提供する木材の最終価格はこれまでと変わりません。

お客様には、生産者の顔を見える高品質な材を家づくりに活用いただくことで、環境負荷の低減、森林再生の一翼を担っていただくことになります。

私たちは、
これを社会的にも意義ある取り組みと考え、推進していきます。

黒壁の家 構造材に最高グレードの秩父の木「SPウッド」を使った、シンプルで上質な住まい

リビングから庭を見る。リズミカルな垂木がアクセント。

閑静な住宅地に立つ夫婦おふたりの家。構造材には秩父の木が使われています。とはいえ、柱や梁をことさら見せるのではなく、モダンで控え目な佇まい。夫妻は当初、木造の家を強く望んだわけではなかったそうです。

つくり手を選ぶ際に思い浮かんだのが、前々から瀬田のモデルハウスのデザイン性に惹かれていた伊佐ホームズ。本社を訪ねたら、山との連携を説明するパネルがありました。「秩父には行ったことがなかったけれど、近くの山の木で家を建てるという伊佐ホームズの方針に共感を覚えました」と奥様は振り返ります。

還暦前後のご夫妻は、この家は終の棲家になると予想しています。そして、初めて自分たちの思い通りに建てる家となりました。望んだのは、シンプルな家。装飾はできるだけ少なく、機能を重視する一方で、素材やデザインは上質なものを選びました。ダイニングは仕事場にもなるよう、昇降可能なテーブル、ウィルクハーンのオフィス用チェアを採用。キッチンの収納などは、奥様の使い勝手に合わせて大工が手づくりしました。細部まで心を配った家には、穏やかで静謐な空気が満ちています。

控えめな印象の外観。外壁はスギ材を黒く塗装しています。

使い勝手の良い動線でキッチンとダイニングを結ぶ。

深く出した軒の先まで、秩父のスギ材の垂木が伸びている。

当然、見えないところにも妥協はしていません。伊佐ホームズが使う構造材は、秩父の山の木の中から厳選した最高グレードの「SPウッド」だけ。これを、壁の中に隠れてしまう柱や梁にも使用しています。だから、家の骨組みが露わになる上棟の光景は夫妻にとってうれしいサプライズでした。「素人目にも色や艶が素晴らしく良い木だとわかりました」とご主人は頬を緩めます。建築のプロである親族も太鼓判を押しました。

「これだけの材料を使っていても木造の家の代金として納得のいく価格で収まったのは、秩父の山との連携があるからだと実感しました」と、ご主人。

この家で、上質な秩父材を体感できる空間がリビングです。艶のある穏やかな色調の垂木が真っ直ぐ庭に向かい、軒裏まで伸びていきます。軒先と縁側が切り取る初夏の庭は、一幅の絵のよう。規則正しい垂木の配置が、軽快なリズムを加えています。

「やはり木の家にして良かった。五感に訴る心地よさがあります」と、夫妻は口を揃えます。

外観と対照的に明るく開放的な玄関ホール。正面がリビング。